『黒革の手帖』は今から40年近くも前の松本清張の長編小説が原作です。
これまでも何度かドラマ化されてきて、前作の2004年の『黒革の手帖』は大筋のあらすじは変わりませんが、ラストの原作との違いが話題になりました。今作も最終回でどんな結末になるのか予想がつかなくなっています。
今回は原作の結末のネタバレを中心に、原作者松本清張についてや、原作本プレゼントの情報について等をご紹介します!
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『黒革の手帖』の原作の結末のネタバレ!
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テレビ朝日の『黒革の手帖』の公式サイトでは、8月10日から17日締め切りで『黒革の手帖』の上下巻セットの原作本プレゼントの企画がありました。
そうなんです。残念ながら原作本プレゼントのチャンスは終わってしまっているんですね…。
『黒革の手帖』の原作の内容を知りたかった!原作のラストはどんな終わり方なんだろう?と気になる方に、原作の結末をご紹介します。
もちろん放送中のドラマの最終回のネタバレになりかねませんので(原作の通りのラストになるのかはわかりませんが)この先の展開を知らずに見ていたいという人はご注意下さいね!
『黒革の手帖』原作のあらすじ
結末をご紹介する前に原作の『黒革の手帖』はどんなストーリー展開でクライマックスを迎えたのかを簡単にご紹介します。
・地味が銀行員が横領で得た大金で銀座のママになる
銀行でOLをしていた地味な女性原口元子は、銀行員である立場を利用して巨額の横領する。
横領した金は脱税用として銀行が秘密裏に顧客に斡旋していたものなので、次長の村井を脱税者のリストを記した黒革の手帖を買い取らせるという形で警察に通報されずに手に入れる事にした。
しかし手帖の中身は手放す前にコピーを取っており、保険として手元に残したまま横領した資金で銀座にクラブ『カルネ』をオープンさせる。
・経営が上手くいかないのでさらに恐喝して資金を得る
元子には水商売をやる才覚がなく、経営は早々に破綻し始める。
さらにホステスとして雇った波子が『カルネ』の客、産婦人科病院の院長の楢林をパトロンにして『カルネ』の入っている真上のフロアに店を出す事を知る。
そこで自分が銀行で知り得た楢林の脱税の情報と、波子に乗り換える事で捨てられた楢林の愛人からの情報を武器にして病院の裏帳簿という2冊目の手帖で楢林から波子の店の開店資金を恐喝して奪い取り『カルネ』の赤字を補填する。
・銀座で1番大きな店『ルダン』への野望
『ルダン』のオーナーである長谷川が店を売ろうとしているという噂を聞きつけて、欲しがる元子。資金源として『カルネ』の客の医科大学進学塾の理事長の橋田に目をつける。
元子は『カルネ』でホステスを始めたすみ江をスパイとして橋田の傍に送り込む。
料亭『梅村』を経営者である梅村ミキから橋田が買い取り、転売して儲けようとしている情報を手に入れる。
橋田の弱みを探しているうち、梅村の経営者だった梅村ミキを愛人として抱えていた国会議員の秘書をしていた安島から、橋田が安島に医科大学へ裏口入学を斡旋を頼んでいるという話を聞く。
そして安島に惹かれた元子は1度だけ安島と深い関係になる。
橋田が『梅村』の所有者になった事を確認してから、安島から手に入れた裏口入学の斡旋リストという3冊目の手帖を使って橋田から『梅村』をタダ同然で脅し取る。
・罠に嵌められて全てを失うことになる
長谷川から『ルダン』の買い取り交渉を進めるうち、長谷川から手付金を払う事、また、元子が購入をキャンセルする事になった場合は手付金は返らない上に手付金と同額の違約金を支払う念書を交わすよう要求される。
『ルダン』を購入するために充分な資金を得られるつもりの元子は手持ちの現金から手付金を支払って契約を進める。
しかし、これは罠で、橋田は『梅村』を買うという情報を流して元子に食いつかせ、元子に『梅村』の所有権が渡った後で元々の所有者だった梅村ミキが橋田に所有権を渡した事を無効にする手続きを取り、橋田から元子へ所有権が移った事も無効にしてしまった。
さらに橋田を恐喝する為に使った裏口入学のリストは安島が用意した偽のリストだったので元子には橋田を脅せる物が無くなってしまった事になる。
これは、長谷川、梅村ミキ、橋田、すみ江、安島が全て裏で繋がって裏切っていたという事だった。
長谷川に違約金を支払うしかなくなった元子は長谷川に『カルネ』を差し押さえられてしまった。
『黒革の手帖』原作の結末
さて、原作はこんな感じで話が展開していまして、かなりドロドロしてきたのですが結末はドロドロなんてもんじゃありません。
長谷川に差し押さえられた『カルネ』なんですが、突然「総会屋の高橋」という男が現れて長谷川が『ルダン』も『カルネ』もこの高橋に渡してしまいます。
総会屋とは、株の売買と邪魔したりして利益を得るっていう一言で言えば「ヤバい人」です。
元子はなんとか生き残れないかと弁護士に相談をして、相場よりかなり高い違約金を設定されているので違約金を下げる交渉をしてみてごらんとかアドバイスを貰っていましたが、交渉の相手が総会屋の高橋だと言うと弁護士も尻込みして逃げ出してしまいます。
『カルネ』の営業中に乗り込んできた高橋の手下に案内されてラスボス、高橋に会いにいった元子ですが、そこに、元子に強い恨みを持って「銀座で商売できなくしてやる!」と言った波子が現れます。
元子に自分の店の開店資金を奪われてしまってから楢林にも捨てられましたが、高橋という新たなパトロンをつけていました。
波子は高橋から『ルダン』を貰うことになっており、規模の小さい『カルネ』など敵ではなくなるわけですが「銀座で商売できなくしてやる」という自分の言葉に拘って、元子から『カルネ』を奪ったというわけです。
元子と波子は激しい口論になり、揉み合った末に転倒して元子は頭を打って気を失ってしまいます。
実は元子は1度だけ関係を持った安島の子を妊娠していて、流産してしまうんですね。
これまでかなりクズなやり方をしてきた元子なので因果応報ではあるんですが、問題は結末のエグさ。
転倒によって大出血が始まり、救急車で搬送先をあたるも、なかなか受け入れ先が見つからず、やっと受け入れてくれた病院がまさかの楢林の病院だったという最悪のオチ付きです。
気を失っていた元子が目を覚ますと、まさにこれから手術をしようとしている楢林と、楢林とヨリを戻していた愛人が自分を見下ろしていて…
「助けて。私は2人に殺される」と叫ぶところで終わっています。
敢えて楢林達が元子にどんな処置をしたのかまでは明記していないのですが、きっと全うな治療なんてしてくれないだろうなと予想がつきますよね。
何されたのかわからない恐ろしさが余韻として残るわけです。
前作2004年の米倉涼子の『黒革の手帖』の最終回は何が違った?
冒頭でも触れましたが、これまで何度もドラマ化されていた『黒革の手帖』なんですけど、2004年の米倉涼子が主演だった前回は、かなりオリジナルアレンジが入った最終回で話題になったようです。
まず大きな違いは流産の処置で終わり、ではなく、流産はしたけれど安島から2億貰って『ロダン』(『ルダン』)を買ってママとして波子を追い出すというどんでん返し、からの、波子の通報で逃げる事に…っていうラストシーンですよね。
しかもこの後、結局通報されてから捕まらなかったようで京都でママをやっているという続編をやったりしています。逃げきれて、さらに場所を変えたとはいえ、またママをやっている事に驚きですよね!
この展開に至るまでの布石として、安島は裏切り者ではなく本気で元子と逃げようとしていたという点も大きいですね。2億せしめるというどんでん返しをさせてあげる安島、スゴイです。
また、ラスボスはあくまでも長谷川1人であった事も大きいです。原作の長谷川はただの『ルダン』のオーナーでヤバい人ではありません。彗星の様に現れたラスボスの高橋の駒に過ぎませんでした。
今作の『黒革の手帖』の長谷川も高橋の要素を加えた形になっていますね。たぶんラスボスに大物俳優を使いたいけれど、大物俳優の出演時間が全体から極端に少ないということが難しい事情があるんだと思われます。
『黒革の手帖』の原作者・松本清張の傾向
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ここで『黒革の手帖』の原作者である松本清張の作品にはどんな話が多いのかという原作者の傾向について触れてみたいと思います。
貧富の差と男女の縺れが多い
松本清張は短編・長編小説、歴史小説・推理小説など様々なジャンルの小説を書いていますが、映画化、ドラマ化される事が多いのは現代の人間の汚さだったり浅はかさなどを、もう胸ヤケしてくる程見せつけてくるものが多いです。
一時期WOWOWで特集が組まれていて、松本清張シリーズとうたって映画化されたものをいくつか観たことがありましたが、ほぼ必ず激貧か富豪が出てきます。
そして男はだいたい愛人を作っていて、女は猛烈な悪女か、男に捨てられまいと従順すぎる幸薄い女かの極端な描かれ方をしています。
全部で5、6作品を観たと思うんですけども、どこを見てもゲスな奴らばかりでスカッとした終わり方をしない事が多いので精神的にかなり疲れました。
特に女性について妊娠・出産・流産などのエピソードが多い
映画化、ドラマ化された松本清張の作品には、男性にとって都合の悪い妊娠が多く出てくる印象があります。
隠し子が居たり、産まれては困ると流産させられたり、してしまったり、あまり良い展開にはならない事が多くなのですが、産むにしろ産まないにしろ、妊娠は女性にとって大きな負担となり逃げられない現実です。
かなり悲惨な目にあう女性が多く出て来るので原作者の松本清張は何か女性に強い恨みでもあるのかと思うくらいでした。
この点について調べてみると、当時既に結婚していた松本清張に激しく結婚を迫ってきた女性がいたようで、彼女がそれはもうどんな手を使ってでも妻の座を得ようとしたそうです。
悪い縁でしたねと後から振り返って指摘された時に「彼女によって『悪女』というものを知り、悪女が書けるようになったので、そう悪い事だったとは言えない」と語っていたようです。
数々の悪女を書いてきた原作者にそう言わしめた女性は、一体どれ程だったんでしょうね。
放送中の『黒革の手帖』の原作との違い
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最後に、原作の展開を詳しくご紹介しましたので、現時点(6話まで)での原作との違いを目立ったものだけあげていこうと思います。
今作の『黒革の手帖』で原作との違いが目立つ点
・横領や恐喝で元子が得る金額
これは40年近く時代が違いますので、金額はやはり高くなっています。前回の2004年のものよりも飛び交う金額は大きくなっていますので、時代背景に合わせたものと言えますね。
原作では7,568万円(なぜか半端)を横領しているのに対して1億8,000万円ですからね。1億も増えちゃっています。
・手帖を実際に渡していない
原作や前回の方では、元子は脱税の証拠を記した黒革の手帖を買い取らせるという形で横領や恐喝をしています。
今作でも「買っていただきたいものがあります」と持ちかけているのですが、村井にも楢林にも橋田にも手帖を渡していません。
これ、原作を知らないで見ていた1話の時点から「結局売ってなくない?」と違和感があったんですよね。
相手に渡す気がないなら、単に秘密を持っているので口止め料下さいって言えばいいのになー。妙な言い回しだなと思っていました。
原作では、コピーこそとっていますが3冊の手帖をそれぞれ多額で売り付けています。
・波子は元同僚ではない
原作では波子は元から銀座でホステスをしていて、今作の様に一緒に派遣切りにあったかつての仲間というワケではありません。
1話では昼休みに派遣同士で机囲んでお弁当を食べたりしていましたが、原作では友達は出来ず1人でランチをする嫌われ者でした。
それに原作ではパトロンをつけずに自分の金だけで(厳密に言えば元子の金でもありませんが)のし上がろうとする元子に対して、波子は最後に、より巨大な力を持つ男に色を使って欲しい物を手に入れています。
女という立場を最大限に活かして『ルダン』と『カルネ』を手に入れた波子に軍配が上がる形になっていて、どこか女は男に身体をささげないと上に行けない無常さを元子と対比していますが、今作は波子が長谷川にパトロンになって貰った感じではありませんね。
・安島の仕事が汚くなっている
原作では裏口入学の斡旋を頼まれている、という立場でそこまで汚い仕事をしているわけではなかった安島ですが、今作は「国有地払い下げ」というもう耳にタコなフレーズが飛び交っていました。
政治家の汚い裏仕事として定着させたいという意図がみえみえですね。あの問題からどの局でも「国有地払い下げ」をする政治家が出てきてウンザリしますね。
今作の『黒革の手帖』最終回の結末はどうなる?
今作の結末がどうなるのか?気になるポイントは、波子と元子が勝つのはどっちなのか?ですね。
原作では波子の圧勝。前作では元子の奇跡の逆転かと思わせての通報によって逃亡。今作は最終的に笑うのはどちらになるのでしょうか。
そのカギを握ることになるのが安島ですね。原作では手酷く裏切られ、前作では愛情は本物でしたが愛人になってくれ宣言で元子が幻滅。でも逆転を成功させた2億をくれます。
6話で安島と元子は1夜を過ごしましたので(かなり淡泊な演出のラブシーンでしたね…)妊娠する流れはあるかと思いますが、一緒に逃亡しようとはなるのでしょうかね。
ドラマ化している中で今作は最も若い元子として(前作の米倉涼子は当時29歳・武井咲は23歳)も話題ですけど、若すぎて安島と歳が離れすぎているんですよね。
まあ、20歳差くらいある愛人とか多いとは思いますけど、カップル感がまるでないのが気になります。あんな淡泊な演出で男女の関係になったと言われても、信頼関係も絆もイマイチ感じられないし、裏切り者だったとしてもそんなにショックじゃない気がします…。