今回は、ひよっこのオープニングミニチュアについて書いてみます。

朝ドラ「ひよっこ」は、1960年代の高度成長期に、奥茨城の農村から東京に出てきた主人公の成長記を脚本家・岡田惠和氏が書き下ろしたドラマです。

朝ドラの視聴者層に合わせるように、幅広い層に好感が持たれるようなストーリーや演出はさすがです。

オープニングも、それにふさわしく、60年代を思い出させる道具などをちりばめて作られていますね。

 



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ひよっこ オープニングミニチュアと映像


出典:http://tee1515.com/

 

ひよっこのオープニングについては、二人の話題のアーチストの共作になっています。

一人はミニチュアアーティスト・写真家の田中達也氏、もう一人は映像ディレクターの森江康太氏です。

 

田中達也氏は、1981年生まれの熊本出身。元々は広告のアートディレクターやWebサイトデザインを手掛けていましたが、2011年に自身の結婚式までのカウントダウンをするために趣味でミニチュアカレンダーを始め、

そのジオラマ作品のインスタグラムへのアップがきっかけで話題になりフォロワーが5年間で43万人に急増、2015年に独立してこちらが本業になってしまったようです。

撮影技術は独学、今ではデジタル一眼レフカメラになりましたが当初撮影はスマホだったそう。

ジオラマ人形のコレクションは3,000体以上、ガンダムのジオラマ作成用に集めていたそうです。

田中氏の作品の特徴は「何かある物を他の物に見立てたミニチュアアート」で、一つ一つの作品を見ると、作品へのコメントを含めひねりやユーモアがあって楽しいです。

 

森江康太氏は、1985年生まれ。

CGプロダクション「トランジスタ・スタジオ」にインターンから入り2006年に入社。

2016年に「morie inc」という会社を立ち上げ独立したCGアニメーターです。

1カットに400から1,000枚以上の静止画像を撮影、ひよっこのオープニング作成の撮影には丸3日かかったといいます。

でも3日でよくできますね。素人にはどのくらい時間がかかるかわからないような作業です。

 



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ひよっこ オープニングができるまで


出典:http://www.fashion-headline.com/


出典:http://okinawan-life.com/

 

今回の二人のコラボレーションは、番組のプロデューサーの「田中氏にドラマの時代設定に合わせた1960年代の小物を使ってのミニチュアの世界を作ってもらい、

それを森江氏のCGでジオラマ人形などに動きを加えれば面白くなるのでは?」とのアイディアで生まれたそう。

現代の感性に敏感なディレクターですね。

 

ひよっこ オープニングミニチュア紹介


出典:https://ameblo.jp/

 

それでは、オープニングの一場面づつ説明と感想を書いて行きます。7月の後半から一部場面が変わりました。

(1) オープニング 看板

看板の文字は1960年代の過去朝ドラの題名を表しています。

左から「うず潮」「あしたの風」「たまゆら」「あかつき」「信子とおばあちゃん」または「あしたこそ」「おはなはん」です。

60年代のドラマにはほかに「娘と私」「旅路」がありますが動画を見た限りでは見つかりませんでした。

 

●うず潮 1964年 ヒロイン林美智子 *初の新人女優をヒロインに起用
●あしたの風 1962年 ヒロイン渡辺富美子 *壷井栄の短編小説のドラマ化
●たまゆら 1965年 ヒロイン亀井光代 *ノーベル賞作家川端康成の書下ろし
●あかつき 1963年 ヒロイン荒木道子 *武者小路実篤の小説からドラマ化
●あしたこそ 1968年 ヒロイン藤田弓子 *初のカラー化、脚本は橋田寿賀子
●信子とおばあちゃん 1969年 ヒロイン大谷直子
●おはなはん 1966年 ヒロイン樫山文枝 *今でも3本指に入る爆発的ヒット作品
●娘と私 1961年 ヒロイン小林美七子 *獅子文六の作品のドラマ化
●旅路 1967年 ヒロイン日色ともゑ

 

当時の朝ドラはテレビの白黒画面からカラー画面への過渡期、また連続一年が基本でしたので今よりも制作・脚本、登場の役者さんたちもさぞ苦労され大変だったと思います。

(2) 畳のヘリを走る路線バス

畳は田舎の田んぼか畑、畳のヘリは道に見立てられています。

走るバスはドラマでも使われていた奥茨城路線バスのミニチュア。

バス停で待つ女の子は都会へ向かうみね子でしょう。

(3) ブラシの毛で稲刈り

稲穂に見立てられているのはデッキブラシ。上部に見える運動靴はみね子の弟の進の物。

(4) おにぎりの横を通るバス

おにぎりは家を見立てているとの説と山を見立てているとの意見がありますが、どちらかというと山かな。

(5) セーターの横を走る列車

緑色のセーターの編み目は棚田のように見えます。その横を列車が走ります。

(6) 洗濯機の脱水絞り機で釣りを楽しむ人々

波模様の衣類の上に釣り糸を垂らし釣りを楽しむ人が見えます。

「編み機」との説がありますが、60年代では洗濯槽と脱水絞り機が分かれていまして、その脱水絞り機から出てくる衣類の模様を海(波)に見立てています。

(7) パンの列車が駅に到着

駅に人が多いので、ドラマで出稼ぎ労働者の目指した上野駅を表現しているのでしょう。

(8) 家電や時計が並ぶ街並み ⇒後半7月から夜は花火に変わりました

電子ジャーとラジオ、時計が並ぶ街並みは銀座あたりを思わせます。

電子ジャーとは60年当時、炊飯器に保温機能がなかったために保温のみを行なう電子ジャーが爆発的に売れました。

その後炊飯器に保温機能も付いたので区別はつかなくなっています。

時計の時刻は「8:15」、60年当時の朝ドラの開始時刻を指しています。

7月から夜景に夏の風物詩・花火が上がるようになりました

(9) ガラスから漏れる光が美しい夜の街並み

ネオン街は銀座を思わせます。

みね子が東京での暮らしに馴染んだ頃でしょうか、主題歌の歌詞「夜の酒場でLonely あの娘今頃どうしてる?さなぎは今、蝶になって きっと誰かの腕の中」が妙にぴったりくる場面です。

(10)タイプライターが観客席、聖火ランナーを応援する人々

観客席はタイプライターです。

ネットではワープロとの意見がありましたが当時はないですね。

ドラマでは、ナレーションの増田元選手の指導で走った奥茨城聖火リレーがありました。

ドラマの始まり当時は増田元選手のナレーション起用を疑問視する声がネットで上がりましたが、朝にふさわしく明るいナレーションで、今となっては英断だったと思います。

(11)そろばんで表現された団地

ライトを後ろから当てて夕暮れ時を表現しています。分解されたそろばんは建設中の団地の材料を表しています。ノート・消しゴム・鉛筆・鉛筆削りも当時の筆記用具です。

(12)回路工場で働く人々⇒後半7月からかき氷のメリーゴーランドと風船に変わりました


出典:https://matome.naver.jp/


出典:http://yuruntime.com/

 

前半では、ラジオの回路を、みね子が上京して時子や愛子寮母さんら乙女荘の住人たちと一緒に働いたラジオの組み立て工場に見立てた場面でしたが、後半7月からはかき氷のメリーゴーランドと風船の場面に変わりました

氷が丸くなっていくシーンも静止画の集積で作られていますね。みね子が働く場所がキッチン「すずふり亭」に変わったことに伴う変更でしょうがさすがに細かい演出です。

 

(13)照らされた瓶が夕暮れの街並みを思わせる


出典:http://www.tvguide.or.jp/

 

オープニングのラストシーン。夕日を浴びる瓶などがビルの街並みを思わせます。

左上のビール瓶は東京タワーに見立てています。真ん中の牛乳瓶は私には小学校時代の給食を思い出します。

 

最後に、田中氏の展覧会情報


出典:http://chulapan.com/

 

2017年NHK朝の連続テレビ小説『ひよっこ』のタイトルバックを手がけ話題となっている写真家の田中達也氏の展覧会「MINIATURE LIFE展 田中達也 見立ての世界」が新宿高島屋11階特設会場にて、9月1日から12日まで開催されます。

SNSで日々「MINIATURE CALENDAR」を発表し、フォロワーが100万人以上に達するミニチュア写真家の田中達也氏。同展は田中氏にとって国内初となる大型展覧会となっており、日常のものを題材に見立てたミニチュア写真作品とジオラマ作品の100点以上を展示する他、ミニチュア体験が可能なフォトスポットも設置されます。

また、会場内は新作4点を除いて撮影可能となっており、フォトジェニックな写真撮影を楽しむこともできます。

なお、9月2日と3日の14時からは両日田中氏のギャラリートークも開催される予定です。

 

【展覧情報】

「MINIATURE LINE展 田中達也 見立ての世界」
会期:9月1日~12日
会場:新宿高島屋11階特設会場
住所:東京都渋谷区千駄ヶ谷5-24-2
時間:10:00~19:30、12日は18:00まで
入場料:一般800円、高大生600円、中学生以下無料
*タイムリーな企画展、関東にお住まいのファンの方はぜひ行って見られたらいかがでしょうか?



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